昨日はお稽古日。12時に間に合うように喜多能楽堂へ行く。いつもは、「何々の間」という所でお稽古があると、先生の名札がかかっているのだが、O先生の名札がかかっていない。あれ?時間を間違えたかなと、事務所に問いかけると、「来ていらっしゃいますよ」とのこと。そこで、先生出てきて、「ちょっと待ってて。」と仰る。こころなしか、少し微笑まれた(?)様子だ。
10分ぐらいして、「前芝さーん」と声がかかる。「今日は上で。」階段を上がっていくと、「舞台が空いてたから、今日はここでやりましょう。」「はい」とは言ったものの、内心焦る。12月に入ってから、舞台で稽古をつけて欲しいとはお願いしていたのだが、今日?心の準備が。。。等と考える暇もなく、揚幕の後ろに’少し左寄り’に立つように言われる。後ジテの出はここから、橋懸かりを渡って、シテ柱をよけるようにして舞台に入っていく。先生は舞台上で囃子の調子をとりながら、見ている。半ばぐらいまで通してやると、ダメ出しが入る。何度か、タイミングとか舞台に入る角度、立ち方等を注意された後すぐに、もう一度やる。今日は先生、厳しい。気合いがピっと入る。不思議なことに、細かいところをきちっと直していくと、自分がだんだん敦盛になった気になってくる。やっと通し終えると、「はい。一回目からそれぐらいやって欲しいね」と言われ、ややガックリくるが、まあしょうがない。先生から見れば、大分練習不足だろう。100回は練習しないと、と言われていたのだから。
それにしても能は正確だ。舞台は9つ割になっていて、一番橋懸かりに近いブロックを常座というが、入るとまずそこに立つ。右から板三枚目だ。タイミングは鼓をしっかり聞いて。そして間。空気を張っていくように体を動かす。止まる。そして最初のセリフ。全く気が抜けない。厳しい。「女だから」とか、「プロじゃないから」とか「練習する場所が狭い」とか、関係ないのだ。要は、やるかやらないか。自分をたたき直して、今度はがんばるぞー!と、O先生、舞台で今日やってくれて有り難うございました!